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2025年11月1日

#Report

フィリピンの大学と連携し、国際教育プログラム「Iloilo Wagamama Innovators」を実施

株式会社IRODORIは、フィリピンの教育機関 Iloilo City Community College(ICCC)West Visayas State University Lambunao Campus(WVSU-LC) と連携し、国際協働教育プログラム「Iloilo Wagamama Innovators」を2025年9月〜10月に実施しました。

本プログラムは、日本で展開する教育プログラム「ワガママLab」の海外実践として、フィリピンの学生が“たったひとりの困りごと”を出発点にアプリを開発する学びの機会を提供。テクノロジーを通じて、地域課題解決と社会変革に挑む新たな教育モデルを示しました。

“たったひとりのワガママ”が、社会を動かす

本プロジェクトは、国際学会 ISTR(International Society for Third-Sector Research) をきっかけに構想が生まれ、フィリピンの教育関係者との対話を経て実現しました。

プログラムには、ICCCおよびWVSU-LCの学生30名が参加。
MIT App Inventorを活用し、身近なたったひとりの困りごとや願いを出発点にアプリを企画・開発しました。

学生たちは、単なるプログラミング学習にとどまらず、想いに寄り添い、行動に変える実践を行いました。

プログラム概要

  • 期間:2025年9月〜10月(全4回+発表会)
  • 対象:Iloilo City Community College・West Visayas State University Lambunao Campus の学生 計30名
  • 内容:MIT App Inventorによるアプリ開発、課題探究、最終発表会
  • 主催:IRODORI/Iloilo City Community College/WVSU-LC
  • 協力:MIT App Inventor Foundation

今回のプログラムから生まれたアプリ事例

「DishCover」|AIが料理を「見て、伝える」視覚支援アプリ

特別支援学校に通う生徒の「私も自分の食べ物を見てみたい」という言葉が出発点。

視覚障がい者が食事をより豊かに楽しめるよう、AI画像認識と音声出力機能を組み合わせたアプリを開発しました。

スマートフォンのカメラで料理を撮影すると、アプリが料理名や食材、栄養情報を判定し、音声で読み上げます。

「Apol Med Routine」|お母さんの介護の負担を減らすアプリ

「祖父の薬管理に苦労する母を助けたい」という想いから生まれたアプリ。

データベースとアラーム機能を活用し、服薬時間を記録・通知するリマインダー機能を実装。

シンプルなUIで、家族が服薬時間を把握しやすくする仕組みをつくり、テクノロジーによる家族支援のあり方を、身近な課題から形にしました。

「IP Care」|先住民族の知恵をデジタルでつなぐ

フィリピン・パナイ島の先住民族「パナイ・ブキドノン」の友人が文化的偏見に苦しむ姿を見てつくられたアプリ。

伝統的な美容・健康の知恵を紹介するアプリ「IP Care」では、画像データとWeb Viewer機能を活用。

文化の背景や効果を科学的に説明する論文を表示することで、伝統と現代の知を橋渡ししています。

その他にも、学生新聞をデジタル化した「iSentinel」や、自分の赤ちゃんのために作った音声学習アプリ「Babble & Learn」など、各チームがMIT App Inventorの機能を活かしながら、“たったひとり”のためのアプリを形にしました。

MITが提唱する“Computational Action”を体現

本プログラムは、MITが掲げる「Computational Action(計算論的実践)」の理念を具現化したものです。学生たちは“当事者”から“解決者”へと成長し、テクノロジーを通じて共感を行動に変えました。

最終アンケートでは、「とても満足」83.3%、「満足」16.7%と高い満足度を記録。

参加者の成長は「他者理解」「創造性」「チームワーク」「学び続ける意欲」の4分野で顕著に見られました。

教育が地域を変える、新たな連携の形へ

現在、ICCCでは「DishCover」をユネスコ創造都市(ガストロノミー)の取り組みと連携中。また、WVSU-LCではワガママLabを正式カリキュラムに導入する検討が進んでいます。

さらに両校は、行政や企業へのアプリ提案を視野に入れた社会実装プロジェクトを進めており、日本の学生との交流も計画しています。

今後も株式会社IRODORIは、学会発表や各国との連携を通じて、Computational Actionを軸とした学びの仕組みづくりを推進してまいります。

wagamama Lab

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