
【MIT App Inventorとは?】地域と世界をつなぐ実践的な学びを実現するアプリ開発ツール
近年子どもたちが単に知識を覚えるだけではなく、自分自身の思いや課題意識を出発点に、社会を動かす実践の重要性が高まっています。
そのような学びを支えるツールのひとつが、MIT App Inventor(エムアイティー・アップインベンター)です。
ワガママLabではこのMIT App Inventorを活用し、「たったひとりの願い」を叶えるアプリをつくるプロジェクトを全国で展開しています。

世界中の誰もがアプリをつくれる
MIT App Inventorは、2007年に誰もがアプリをつくれる社会を実現することを目指し、アメリカ・マサチューセッツ工科大学(MIT)とGoogleにより共同開発されました。現在では195カ国以上で利用される世界最大規模の教育向けアプリ開発ツールです。
初心者でも使えるビジュアルプログラミング形式で、コードを書くことなく、ブロックを組み合わせる直感的な操作で、誰でもスマートフォンやタブレット用のアプリを無料で開発できます。

2025年8月時点では:
- 195カ国以上で利用
- 登録ユーザー数:2,380万人
- 作成されたアプリ数:1億1,500万件以上 195カ国以上で利用
このツールの魅力は、専門知識がなくても“誰でもつくれる”という手軽さと、つくったアプリをすぐにスマートフォンで試せる即時性にあります。さらに、世界中の教育機関・子どもたちが使っているという国際的なネットワークを活用した学びも可能です。

App Inventor FoundationとIRODORIの連携
MIT App Inventorは、MITの開発チームと連携する非営利組織「App Inventor Foundation」によって、グローバルに推進されています。
ワガママLabを運営する株式会社IRODORIは、App Inventor Foundationと正式に連携している日本唯一の団体です。
MIT App Inventorを活用した探究活動やアプリ開発を、地域の教育現場から世界につなげることで、日本各地の子どもたちがグローバルな舞台へと挑戦できる機会の創出を担っています。
▼2024年度の連携実績
- Japan Wagamama Awardsの開催
App Inventor Foundationの共催のもと、日本における公式 Regional Appathon として開催されました。
Regional Appathon は、公式パートナーが主催し、App Inventor Foundation が認定する国際プログラムです。各地域の団体と協力し、複数の言語や文化に対応した公式 App Inventor コンテストを展開することで、世界中に体験を広げることを目的としています。
- MIT AI Education Summitでの発表
Japan Wagamama Awards のグランプリ受賞者は、公式に MIT AI & Education Summit に招待され、「Global AI Hackathon Final Showcase & Awards」にて、プロジェクトを発表しました。

理論に基づき構成される3つの学びの柱
MIT App Inventorを活用した取り組みの背景には、以下のような3つの教育理論があります。
1. コンストラクショニズム(Constructionism)
つくりながら学ぶことで、考える力と創造性が育つ
MITのシーモア・パパート教授が提唱した理論で、知識は受け取るものではなく、“手を動かして何かをつくる”プロセスを通じて自ら構築するものだとされています。
MIT App Inventorはまさにこのコンストラクショニズムの思想を体現したツール。ブロックを組み立てて、スマホで動かして、失敗して、また直してという過程そのものが学びになります。

2. 計算論的実践(Computational Action)
“考える”だけで終わらず、“社会を動かす”行動へ
テクノロジーを活用し、社会に実際に働きかける行動を学びの中心に据える考え方です。
単に課題を調べるだけでなく、アプリを開発し、実践・改善するサイクルを通じて、社会を動かす”課題解決の実践者”が育ちます。
3. 自己効力感(Self-Efficacy)
「やってみたらできた!」が、自信と次の挑戦を後押しする
自己効力感とは、「自分にはそれを達成する能力がある」と信じる感覚のことで、心理学者アルバート・バンデューラによって提唱された理論です。この感覚は、学習の持続や課題への意欲、成果の向上に大きな影響を与えるとされています。
MIT App Inventorは、コードの知識がなくてもアプリをつくることができるツールです。「まずやってみる」ことができ、その過程で小さな成功体験を自然に積み重ねられます。そうした成功体験の積み重ねが自己効力感を高め、「もっと挑戦してみたい」という前向きな行動変容につながっていきます。

MIT App Inventorでどんな技術が使えるの?
MIT App Inventorでは、以下のような高度な技術も、誰もが簡単に実装できます。
① AIの活用
- AIチャットアプリ:「ChatBot」でAIとの会話が可能
- 画像生成アプリ:「ImageBot」でテキストから画像を生成
② 音声認識
- 音声をテキストに変換できる「SpeechRecognizer」機能
③ 位置情報やセンサー活用
- GPS連動の地図・ナビアプリがつくれる「LocationSensor」「Map」機能
④ データの保存と共有
- 「TinyDB」で端末内にデータを保存
- 「Firebase / CloudDB」で複数端末でデータを共有可能
⑤ QRコード読み取り
- 「BarcodeScanner」でQRコードを読み取る機能

MIT App Inventorを使って”こうなったらいいな”を叶えるアプリをつくってみよう!
MIT App Inventorは、”こうなったらいいな”という思いを誰もが形にできるツールです。
考えて、試して、工夫するというプロセスを通して、ただの学習者ではなく、実践者へと変わっていきます。
そして、自分の行動が誰かの役に立つかもしれないという実感が、自信や次の挑戦へとつながっていきます。

ワガママLabでは、今後もMIT App Inventorを活用した取り組みを行っていきます。
ぜひ、みなさんもワガママLabプログラムに参加して、MIT App Inventorを使ったアプリをつくってみませんか?
wagamama Lab