須賀川市の中高生へ届け!地元で暮らす人たちの課題を解決するアプリをつくりませんか?【須賀川ワガママLab説明会レポート】
福島県須賀川市で、新たな取り組みがはじまりました。自分の想いやアイディアで、須賀川市で暮らす人たちの困りごとを解決する経験ができる中学生と高校生のみなさん向けのプログラム「須賀川ワガママLab」です。
須賀川ワガママLabでは、須賀川市にゆかりのある若者の皆さんと一緒に”地域で暮らす人たちのワガママを叶えるアプリをつくる挑戦”を通じて、地域に変化を起こすきっかけをつくりたいと考えています。
▼須賀川ワガママLabの詳細はこちらから
本記事は、2023年6月1日に実施したオンライン説明会で発信した内容についてレポートしていきます。
なぜ須賀川市は須賀川ワガママLabを立ち上げたのか。そして、プログラムの背景や具体的な内容についてご紹介しますので、ぜひご覧ください。
▼説明会の動画はこちら
- 主催:須賀川南部地区エリアプラットフォーム
- 共催:株式会社テダソチマ、東日本電信電話株式会社
- 後援:須賀川市
- 事業連携:株式会社IRODORI
- 協力:昭和株式会社
須賀川市を若者が暮らし続けられるまちにしたい
まずは須賀川市の概要と須賀川ワガママLabを立ち上げた背景のご紹介です。
福島県須賀川市の人口は約7.5万人。多くの地方都市同様、近年の産業構造や生活様式の変化、さらには高齢化や人口減少による課題が多く存在します。
特に社会減の大きな要因となっているのが20〜30歳代の若者の流出です。地元に暮らし続けたくても仕事を理由に離れていくという現状も存在しており、若者が暮らし続けられるまちであるためには地域におけるデジタル人材を育成し、新たな挑戦の機会をつくることや仕事の創出が欠かせません。
須賀川南部地区では、令和3年1月に「須賀川南部地区エリアプラットフォーム」を構築し、令和4年3月には未来ビジョン「みちしるべ」を策定しました。そこで設定した「10のみちしるべ」のうちの2つである「中高生が自分の将来をイメージできるまち」「先端技術を導入し便利で快適なスマートなまち」の実現を目指し、中高生を対象としたアプリ開発プログラム「須賀川ワガママLab」を実施します。
▼みちしるべ 須賀川南部地区 未来ビジョン 2022-2031
https://tedasochima.com/michishirube/
「アプリをつくる」というと、とても難しく感じてしまうかもしれません。後からも紹介しますが、須賀川ワガママLabはその点はあまり心配せずに参加していただきたいと思います。
須賀川ワガママLabでスマートフォンアプリをつくる理由
突然ですが、世界の人口は何人かご存知でしょうか。正解は78億人。日本では人口減少といわれていますが世界全体では人口は増えていて、今後もさらに増え続けていく見込みです。
では、世界で流通しているスマートフォンの数はどれくらいでしょう。
世界で流通しているスマートフォンは「40億台」と言われています。2021年のデータなのでもっと増えているかもしれません。
これは子どもたちを除くと、ほとんどの大人が持っている計算になります。誰もがスマートフォンを持っているということは、スマートフォンを使っていろいろな人の困りごとを解決できる可能性があると思いませんか?
このように、コンピュータを活用して課題をどのように解決するか、誰かの役に立てるようにするのかを考える「コンピュータ活用思考」を専門としているのが、須賀川ワガママLabサポーターの石原先生です。
スマートフォンを活用すれば、身近な人たちの小さな課題から地域の課題まで解決できる可能性があります。
実際に、スマートフォンを活用して地域課題を解決する若者たちの事例が世界で出てきています。
例えば、アメリカのミシガン州・フリントで起こった「水道危機」をご存知でしょうか。財政破綻したフリントは、より安価に水を供給できるようにするために真水の湖から、近くのフリント川に水源を切り替えました。すると水道管と水質の相性が悪く、鉛が含まれた水が供給されて住民たちに甚大な健康被害が出たという事件です。
それに対して解決に取り組んだのが、当時11歳のギタンジャリ・ラオさんでした。
彼女は両親がいつも水に鉛が含まれていないかをチェックしているのを見ていて、もっと簡単にチェックする方法があればいいのにと考えました。
そして彼女は大学のウェブサイトの情報や、誰でもアプリを作れるツール「MIT App Inventor」などを活用して、水に鉛が含まれているのかを誰でも簡単に検知する装置をつくりました。
11歳の女性が何かできないかと思って行動した結果、多くの人たちを助けるツールをつくりだしたギタンジャリ・ラオさんは世界で注目される存在となりました。
現代では誰でも使える技術が増えており、年齢も特別なスキルセットも、持っている資金も関係なく、人の役に立つものをつくりだせるのです。
まさに、須賀川ワガママLabでは須賀川市に住んでいる人、自分の家族、高齢の方など「誰かの役に立つ」ためにテクノロジーを使って課題を解決する経験をみなさんと一緒にしていきたいと思っています。
ここでプロジェクトの名前にも入っている「ワガママ」について、少し深掘りをしてから具体的な内容のご紹介をしていきます。
”ワガママ”は地域を変える
みなさん、こちらの写真を見てください。女性が洗濯をしている様子なのですが、どれくらい前の日本の写真だと思いますか?
正解は1930年代の洗濯の様子です。当時はお母さんたちが集まって、手洗いで洗濯をしていました。写真の皆さんは笑顔ですが、きっと、こう思っている人もいたのではないでしょうか。
手が冷たい。時間がかかる。大変だ。腰が痛い。辛い。
当時そんなことを言うと「ワガママ」と言われて非難されたかもしれません。「みんなやっているのだから我慢してやりなさい」なんて、みなさんも言われたことがある言葉なのではないでしょうか。
でも、誰もその現状をなんとかしようと思わず、現場でワガママをいう人が現れない限り、そこに「課題がある」ということにさえ気がつかなかったかもしれません。
私たちは、ワガママの定義を「日々の生活の中で、本当はこうなったらいいのになと思っているけれど、あきらめてしまっていることや我慢していること」としています。
須賀川ワガママLabでは、そんな須賀川市で暮らす人たちの”ワガママ”を可視化し紐解いていくことで、まちの課題を見つけ、地域で暮らす人たちや企業の皆さんと一緒にデジタルで解決する挑戦をしていきます。
実際にやることは、まずは世の中で実際に起きていることについて座学で学んでいきます。そして、須賀川市で暮らす人たちの取材などを通じて地域の人たちと繋がって、ワガママを叶えるアプリを仲間と一緒に作っていきます。
そして開発したストーリーをもとに、どんなワガママを叶えるアプリを作ったのかを市民の皆さんをはじめ、連携している企業、海外の専門家の皆さんに発表していただきます。
アプリをつくるのが、「MIT App Inventor(MITアップインベンター)」というソフトウェアです。
マサチューセッツ工科大学が開発している、誰でもパズル感覚でスマートフォンアプリを作ることができるツールです。
スクラッチをやったことがある人は、少しイメージがつくかもしれません。それに近い感覚でつくることができます。現役エンジニアたちもサポートに入りますし、デジタルに苦手意識がある人も、全く経験のない方も安心して参加していただけたらと思います。
こちらのスライドは、実際に鉾田市の若者が開発したアプリです。膝の悪い高齢者の日常生活を支援するアプリや、近所の人たちで送り迎えを助け合えるアプリを開発しました。
これらのアプリは、地域で暮らしているなかで「こうなったらいいな」と思った体験をもとにしてつくられています。
地域の人たちに話を聞き、誰かのワガママを叶えるために何が必要かを考え尽くすことが、須賀川ワガママLabで最も大切にしているところです。
須賀川ワガママLabでできる経験は、スマートフォンアプリを開発できること。社会課題の解決に挑戦する経験ができること。地元で新たな仲間たちとつながって成長できること、などなど。
このプログラムで、新しくできるようになることや仲間たちが増えて特別な経験ができると思います。
須賀川ワガママLabサポートメンバー
サポートメンバーには、須賀川南部地区エリアプラットフォームの方々をはじめ、地域の課題解決に関わる専門家や、アプリ開発をサポートする専門家たちがいます。
また、MIT認定教育モバイルコンピューティングマスタートレーナーの石原先生とも連携して進めていきます。
須賀川ワガママLab スケジュール
プログラムのスケジュールはこちらです。全ての日程の参加が難しくてもフォローアップを行いますのでご興味があれば、ぜひあきらめずにお申し込みいただけたら嬉しいです。
須賀川ワガママLabでは、いろいろなことに興味がある方にご参加いただきたいと思っています。
「須賀川市で楽しいことをやってみたい」
「進路を決めるのに、いろいろな経験をしてみたい」
「アプリをつくってみたい」
「なにか新しいことに挑戦してみたい」
そんな想いを持つ中学生、高校生の皆さんにぜひ参加していただきたいです。
一緒に、地元のことを知り、地元で暮らす人たちの”ワガママを叶える挑戦”を通じ、市の未来をつくる挑戦をしてみませんか?
須賀川市にゆかりのある中学生、高校生の皆さんのご参加お待ちしています!
募集概要
- 場所:須賀川市内開催+オンライン開催
- 対象:須賀川市内在住、もしくは須賀川市内に通学している中学生と高校生
- 参加費:無料
- 応募締め切り:6月16日(金)
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