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2025年9月3日

#Report

【MIT App Inventorとは?】地域と世界をつなぐ実践的な学びを実現するアプリ開発ツール

近年子どもたちが単に知識を覚えるだけではなく、自分自身の思いや課題意識を出発点に、社会を動かす実践の重要性が高まっています。

そのような学びを支えるツールのひとつが、MIT App Inventor(エムアイティー・アップインベンター)です。

ワガママLabではこのMIT App Inventorを活用し、「たったひとりの願い」を叶えるアプリをつくるプロジェクトを全国で展開しています。

世界中の誰もがアプリをつくれる

MIT App Inventorは、2007年に誰もがアプリをつくれる社会を実現することを目指し、アメリカ・マサチューセッツ工科大学(MIT)とGoogleにより共同開発されました。現在では195カ国以上で利用される世界最大規模の教育向けアプリ開発ツールです。

初心者でも使えるビジュアルプログラミング形式で、コードを書くことなく、ブロックを組み合わせる直感的な操作で、誰でもスマートフォンやタブレット用のアプリを無料で開発できます。

2025年8月時点では:

  •  195カ国以上で利用
  •  登録ユーザー数:2,380万人
  •  作成されたアプリ数:1億1,500万件以上 195カ国以上で利用

このツールの魅力は、専門知識がなくても“誰でもつくれる”という手軽さと、つくったアプリをすぐにスマートフォンで試せる即時性にあります。さらに、世界中の教育機関・子どもたちが使っているという国際的なネットワークを活用した学びも可能です。

App Inventor FoundationとIRODORIの連携

MIT App Inventorは、MITの開発チームと連携する非営利組織「App Inventor Foundation」によって、グローバルに推進されています。

ワガママLabを運営する株式会社IRODORIは、App Inventor Foundationと正式に連携している日本唯一の団体です。

MIT App Inventorを活用した探究活動やアプリ開発を、地域の教育現場から世界につなげることで、日本各地の子どもたちがグローバルな舞台へと挑戦できる機会の創出を担っています。

▼2024年度の連携実績

  • Japan Wagamama Awardsの開催

App Inventor Foundationの共催のもと、日本における公式 Regional Appathon として開催されました。

Regional Appathon は、公式パートナーが主催し、App Inventor Foundation が認定する国際プログラムです。各地域の団体と協力し、複数の言語や文化に対応した公式 App Inventor コンテストを展開することで、世界中に体験を広げることを目的としています。

  • MIT AI Education Summitでの発表

 Japan Wagamama Awards のグランプリ受賞者は、公式に MIT AI & Education Summit に招待され、「Global AI Hackathon Final Showcase & Awards」にて、プロジェクトを発表しました。

理論に基づき構成される3つの学びの柱

MIT App Inventorを活用した取り組みの背景には、以下のような3つの教育理論があります。

1. コンストラクショニズム(Constructionism)

つくりながら学ぶことで、考える力と創造性が育つ

MITのシーモア・パパート教授が提唱した理論で、知識は受け取るものではなく、“手を動かして何かをつくる”プロセスを通じて自ら構築するものだとされています。

MIT App Inventorはまさにこのコンストラクショニズムの思想を体現したツール。ブロックを組み立てて、スマホで動かして、失敗して、また直してという過程そのものが学びになります。

2. 計算論的実践(Computational Action)

“考える”だけで終わらず、“社会を動かす”行動へ

テクノロジーを活用し、社会に実際に働きかける行動を学びの中心に据える考え方です。

単に課題を調べるだけでなく、アプリを開発し、実践・改善するサイクルを通じて、社会を動かす”課題解決の実践者”が育ちます。

3. 自己効力感(Self-Efficacy)

「やってみたらできた!」が、自信と次の挑戦を後押しする

自己効力感とは、「自分にはそれを達成する能力がある」と信じる感覚のことで、心理学者アルバート・バンデューラによって提唱された理論です。この感覚は、学習の持続や課題への意欲、成果の向上に大きな影響を与えるとされています。

MIT App Inventorは、コードの知識がなくてもアプリをつくることができるツールです。「まずやってみる」ことができ、その過程で小さな成功体験を自然に積み重ねられます。そうした成功体験の積み重ねが自己効力感を高め、「もっと挑戦してみたい」という前向きな行動変容につながっていきます。

MIT App Inventorでどんな技術が使えるの?

MIT App Inventorでは、以下のような高度な技術も、誰もが簡単に実装できます。

① AIの活用

  • AIチャットアプリ:「ChatBot」でAIとの会話が可能
  • 画像生成アプリ:「ImageBot」でテキストから画像を生成

② 音声認識

  • 音声をテキストに変換できる「SpeechRecognizer」機能

③ 位置情報やセンサー活用

  • GPS連動の地図・ナビアプリがつくれる「LocationSensor」「Map」機能

 ④ データの保存と共有

  • 「TinyDB」で端末内にデータを保存
  • 「Firebase / CloudDB」で複数端末でデータを共有可能

⑤ QRコード読み取り

  • 「BarcodeScanner」でQRコードを読み取る機能

MIT App Inventorを使って”こうなったらいいな”を叶えるアプリをつくってみよう!

MIT App Inventorは、”こうなったらいいな”という思いを誰もが形にできるツールです。

考えて、試して、工夫するというプロセスを通して、ただの学習者ではなく、実践者へと変わっていきます。

そして、自分の行動が誰かの役に立つかもしれないという実感が、自信や次の挑戦へとつながっていきます。

ワガママLabでは、今後もMIT App Inventorを活用した取り組みを行っていきます。

ぜひ、みなさんもワガママLabプログラムに参加して、MIT App Inventorを使ったアプリをつくってみませんか?

wagamama Lab

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